レコードプレーヤーMICRO1500買取

ある日の午前中、ジャズのレコードを一度買取させていただいたお客様から再度お問い合わせがありました。一度目は店頭にお持ち込みいただいたのですが、今回は奥様から「実は昨年夫が亡くなったのよ、まだレコードが少しとそれを聴くような機械のような物がまだあるから来てもらえないかしら」とお電話をいただきました。

出張買取をはじめ、店頭買取や宅配買取で、日々沢山のお客様様を対応しておりますので、お電話だけでは記憶が思い出せないのですが、ご自宅までお伺いし顔を合わせると「これはこれは！以前はありがとうございました！」と数年前にお会いした記憶が蘇りました。

多分2.3年前でしょうか、ご来店した時はジャズとソウルのレコードを色々お持ち込みいただいておりました。ご高齢にもかかわらず、マイナーなジャズやソウルのレコードをお売りいただのが自分的には驚き（印象的）でした。ご高齢の方でお売りいただくレコードの多くは、ビートルズなどのロックや、歌謡曲・クラシックなどが一般的に多い印象です。勿論ジャズなども持っている方もいらっしゃいますが、王道的なジャズ（コルトレーンやマイルスなどのモダンジャズ）をお持ちの方が大半ではないでしょうか。ですので、マニアックなジャズをお持ちでご高齢だと、私的には「おおっ」となってしまいます。

今でこそインターネットやSNSが当たり前の時代になり誰もが簡単に情報を手に入れられ、レコードの輸入盤や稀少盤を手に入れるのも昔に比べて容易になっていますが、今から50年以上前はインターネットも無く、情報は一部の雑誌やラジオなどしかなく、海外盤のレコード流通も少数入荷（メジャー盤の一部）だったと思います。

その頃にアンダーグラウンドなジャズなど手に入れられるのは国内では不可能に近いはずなので、単純に「凄いなあ…」と思いました。

お問い合わせから数日がたち、ご自宅に出張でお伺いいたしました。レコードは30枚程で、数字にすると少量ではございますが、きっとどうしても残しておきたかった大事なレコードだったのでしょう。他にはオーディオ機材が色々とあり、レコードプレーヤーのMICRO1500、FOSTEXのスピーカー他、オーディオは4点ほどお売りいただきました。

こちらのレコードプレーヤーは知る人ぞ知る名機で、手に入れたくても中々市場に出ない逸品です。状態はあまり良くありませんでしたが、稀少性を踏まえ、頑張って買取させていただきました。

査定をしている最中に奥様と少しお話しいたしましたが、当時の旦那様のお仕事は、海外と日本を往来するようなお仕事で、海外に住んでいらした頃に、アメリカでよくレコードを購入なさっていたとのこと。現地で購入していらしたからこそ、当時の日本にはあまりない珍しいレコードを持っていらしたのだと、腑に落ちた次第です。ガッテン！ガッテン！（相槌古）

「私が持っていても仕方ないし、使ってくれる人がいるならね…」と最後のお代金の受け渡しの時に奥様がおっしゃりました。
きっと色々な想いがおありだったのだと存じます。私自身、うしろ髪を引かれ、なかなか処分できないレコードは沢山あります。実はお売りいただくお客様から学ばせていただく事の方が多い毎日でございます。
大切になさっていたものを手放すご決意、旦那様ご自身ではきっとできなかったこと、さびしくなるかもしれませんが奥様がご決断なさってよかったのではないかと存じます。次のオーナー様へしっかりお引き継ぎいたしました。